| 危険な脂肪肝(1)
慢性肝炎は、C型肝炎ウィルス(HCV)やB型肝炎ウィルス(HBV)などウィルスによるものがほとんどで、肝硬変へ進展し、さらに肝細胞癌が発生するなど生命をおびやかす疾患に関わります。近年、脂肪肝は食生活の欧米化など生活習慣の変化により増加しています。アルコール性脂肪肝の場合はそれ自体肝の線維化を引き起こし、肝硬変に進展する可能性がありますが、その他の非アルコール性脂肪肝(NAFL)は生活習慣病の一環、脂質代謝の異常を示す指標と考えられ、それ自体は予後良好と考えられていました。しかしNAFLの中にも、アルコール性肝炎と類似した病理所見を示す、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と呼ばれる一群の疾患があります。NASHでは肝の炎症が遷延化し、肝硬変に進行する可能性もあるため、必ずしも予後良好であるとは言い切れません。
危険な脂肪肝(2)
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は肝硬変に進行する可能性がある予後良好とはいえない疾患であり、単なる脂肪肝とは異なる病態を示します。逆に原因不明の肝硬変の中には、NASHが進行したものも含まれると考えられます。従って、非アルコール性脂肪肝(NAFL)の中からNASHを見つけ出し、適切に治療することが重要です。NASHはそもそも「アルコール摂取歴はないのにアルコール性肝障害に類似した病理所見を認める」ということが疾患概念ですので、確定診断のためには肝生検が必要になります。NASHの背景はNAFLとほとんど同様ですから、臨床的にNASHをみつけだすことは困難と考えられます。Ludwigの最初の報告では、NASH患者20名のうち60%が女性で、平均年齢54歳、ほとんどが無症状で軽度の肝機能障害を認めるのみでした。
危険な脂肪肝(3)
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と非アルコール性脂肪肝(NAFL)は糖尿病・高脂血症・肥満・高血圧・高尿酸血症など同様の危険因子が指摘されており、特にインスリン抵抗性が重要であるとされています。大人だけでなく子供にも発症します。原因不明の肝硬変の約半数はNASHの進行したもので、肝細胞癌が発生することもあると考えられますので、早期に診断する必要があります。脂肪肝でも、肝機能異常が持続したり、肝線維化マーカーが上昇している場合、インスリン抵抗性を認める場合はNASHを考える必要があります。治療としては、食事・運動療法などの生活習慣の改善が基本になります。肝機能が改善しない場合は薬物療法を行うことになります。通常の脂肪肝といえども、NASHに進展する可能性がありますから、生活習慣を見直し、治療・経過観察する必要があるでしょう。
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