渡辺内科・消化器科医院
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コラム

エタノール注入療法 (1)
消化器病領域にはユニークな治療法がたくさんありますが、ほとんどが海外で開発されたものです。肝細胞癌に対するエタノール注入療法(PEI)は、約25前日本で、私の所属していた研究室で産声をあげた治療法です。研究室には、以前から経皮的胆管造影の研究やチバニードルとして有名な穿刺針の開発など、穿刺に関連した技術の蓄積がありました、これに超音波診断装置の発達や穿刺用プローブが考案され、PEIの開発を可能にしました。症例の積み重ねにより適応と治療成績が明らかになり、小肝細胞癌の治療法として、手術と並び中心的な位置にあります。手術の場合は、施設により治療成績が異なり、優れた治療成績を示す施設は限られますが、PEIは手技が簡便なため、広く普及した治療法であり、施設間の治療成績の差も比較的小さく、安定した治療法であるといえます。現在ではPEIの技術をもとに、ラジオ波を使った局所温熱療法などに進化しています。

エタノール注入療法 (2)
エタノール注入療法(PEI)は、腫瘍と周囲の非腫瘍部を含めて治療できるので、腫瘍の完全壊死を得ることができます。超音波診断装置にて描出できる病変は、基本的にはすべて治療可能です。局所麻酔をし、超音波映像下に腫瘍に局注針を穿刺し、エタノールを注入します。肝臓は血流の豊富な臓器で、一箇所に大量に注入しても、肝外に流出する量が増えるだけですから、超音波画像を見ながら、適量を注入します。1回の注入で効果の及ぶ範囲は限られ、超音波像も変化するので、何日かに分け、満遍なくエタノールが腫瘍に行き渡るように何回も注入します。腫瘍の体積は半径の3乗に比例するので、わずかな大きさの違いで、総注入量や注入回数など治療の難易度は大きく異なります。直径2cm以下であれば、完全壊死を得ることは比較的容易ですので、早期発見が重要です。

エタノール注入療法 (3)
エタノール注入療法(PEI)は、簡便で効率的な治療法ですが、エタノールが肝外に流出するため、治療効果が一定でなかったり、注入すると超音波像が変化するため、一日に何度も注入することが困難であったり、また超音波画像で治療効果判定するには熟練を要しますので、造影CTで効果を判定しながら治療を行う必要があるなど、煩雑な面もあります。基本的には初回の治療が重要で、初回にできるだけ多量のエタノールを注入し、多くの癌組織を壊死させることが重要です。その後、残りの癌組織に丁寧に追加注入し、仕上げをします。PEI開発後、熱湯注入療法・酢酸注入療法やマイクロ波による治療、さらにはラジオ波による治療など、数々の局所治療が生まれました。しかし特別な装置を必要としないなど、PEIの利点は大きく、その意義は今でも変わりありません。


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